「・・・」

扉を開けると見知らぬ女性が姿鏡の前に立っていた
師匠から街へのお使いを頼まれたのでリアイスとディアキスは二人で一緒に街へ下りていったのだ。
二人が出かけてから帰ってくるまでの間に、一体何があったというのだろうか。

二人は目を凝らして目の前に立っている女性……を見つめる
淡い黄色の髪にところどころに混じっている紫。
そんな髪の人を、二人は自分たちの師匠しか知らない。
目の前にいる人は、記憶にある師匠の髪よりも短いが。
しかし二人の知る師匠は確か性別は男性だったはず。

「・・・師匠?」
「ん?」

ディアキスが思い切って呼んで見る。
振り向いてこちらに向けられた顔はまさしく二人の師匠であるヴィオルの顔。
二人に気づいたヴィオルはまるで子供のような笑顔を向けた。

「お帰り!頼んだものは買ってきてくれたかい?」
「え、ええ。ちゃんと買ってきました。それよりも師匠…」
「その格好はどうしたんですか!」

リアイスの言葉をさえぎりディアキスが言う。
その質問に一瞬きょとんとしたヴィオルだがすぐさま笑顔を二人に向けた。

「ああ、これかい」

ヴィオルは濃い目の紫色をしたワンピースの裾を持ち上げてくるりと一回まわった。
二人はいまだに驚いた表情のままだ。

「ちょっと着てみたら案外違和感なくてね」

なんて理由だ。
二人は同時に思った。
そんな理由だけで大の大人が、しかも男が女物の服を着てしまうものだろうか。
彼の考えることはわからない。

「髪も、切られたんですか?」

リアイスがいう。
背中につくか、というくらいの長さだった髪はばっさりと切られ二人と同じくらいの短さになっている。
たずねられたヴィオルは髪を少しいじりながら答えた。

「ああ、せっかくだからね」

それに、とヴィオルはいう。

「これなら君たちと、お揃いだろう?」
「「師匠・・・」」
「ほら、入っておいで」

ヴィオルは笑って手招きをした。
リアイスとディアキスもお互いに見詰め合ってから笑って家の中へと入っていった。

「でも少しもったいないですわ」
「何がだい?」
「髪よ!」
「そうかな」
「長いほうも素敵でしたのに」
「前のほうが良かった?」


ヴィオルは二人に尋ねる。

二人は先ほどのヴィオルのようにきょとんとしてからすぐさま笑顔になり答えた。



「そんなことない!」
「今もとっても素敵ですわ!」

「だってお揃いですもの!」「だってお揃いだもん!」



そういって二人はヴィオルに抱きついた。














変化とお揃いになった日。
(だけどどうしてワンピースなんて着て見ようと思ったのかしら?)













**************************

双子と師匠の話。

某所に先に書いた(ワードを出すのが面倒だったとかそんな…)のからちょこっと加筆修正済み。
脱字も一応直しましたがまだあったらどうしよう。


文句とか、中傷は受け付けませんが(というか駄目ですよ!)
誤字脱字報告はいつだってどうぞ…!(←





戻る